iPadをモニターとして使うとはどういうことか?
「iPad モニター」というキーワードには大きく2つの意味があります。1つは「iPadを外部ディスプレイとして使う」方法、もう1つは「iPadの画面を外部モニターに出力する」方法です。この記事では前者、つまりiPadを他のデバイスのモニターとして使う方法と、それに関連する仕様や制限について詳しく解説します。
iPadをモニター化する代表的な方法
iPadは単体で外部入力ポートを持たないため、通常のPCモニターのようにHDMIケーブルを接続して映像入力を受けることはできません。しかし、以下のような方法でiPadを「仮想モニター」として利用することが可能です。
1. Sidecar(サイドカー)機能を使う【macOS限定】
Appleが提供する「Sidecar」は、Macの画面をiPadに拡張またはミラーリングできる機能です。USBまたはWi-Fi経由で接続し、iPadをセカンドディスプレイとして使えます。
- 対応macOS:macOS Catalina以降
- 対応iPadOS:iPadOS 13以降
- 対応ハード:2016年以降のMacとApple Pencil対応のiPad
Sidecarでは、Apple Pencilによる入力も可能で、Mac上のグラフィックアプリをiPadで操作するなどの用途に向いています。
2. サードパーティアプリを使う(Windows/mac対応)
Windows PCとiPad間でモニター拡張を行いたい場合は、「Duet Display」や「Splashtop Wired XDisplay」などのアプリを使用します。これらはUSBやWi-Fiを介してiPadをセカンドディスプレイに変換できます。
- Duet Display:元Appleエンジニアが開発。有線接続が安定。
- Splashtop Wired XDisplay:USB接続に対応し、遅延が少ない。
これらのアプリはiPadに専用アプリをインストールし、PC側にもドライバを導入する必要があります。一部は有料ですが、精度と安定性が高いため利用者が多いです。
iPadの画面を外部モニターに出力する方法
逆に、iPadの画面を外部モニターやテレビに映す場合は、以下の方法があります。
1. HDMIアダプターによる有線接続
Apple純正の「Lightning – Digital AVアダプタ」や「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」を使えば、iPadからHDMI経由で外部モニターに出力可能です。ただし、出力されるのは基本的に「ミラーリング(複製表示)」です。
- 対応端子:Lightning または USB-C
- 対応出力:最大1080pまたは4K(モデルにより異なる)
2. AirPlayによるワイヤレスミラーリング
iPadはAirPlayを使ってApple TVや対応スマートテレビに画面をミラーリングできます。Wi-Fi環境が整っていればケーブル不要で接続可能です。
ただし、映像の遅延が発生しやすく、ゲームや動画編集には不向きです。プレゼンテーションや動画視聴などには適しています。
iPadのディスプレイ性能と外部モニターとしての利点
iPadは近年高性能なディスプレイを搭載しており、画質面でも外部モニターとしての活用に適しています。主な仕様は以下の通りです(モデルによって異なる)。
- 解像度:最大2732 x 2048ピクセル(iPad Pro 12.9インチ)
- リフレッシュレート:最大120Hz(ProMotion対応機種)
- 色域:P3広色域・True Tone
これにより、イラスト制作、動画プレビュー、写真編集などの用途でも十分活用可能です。
SidecarとDuet Displayの比較
iPadをモニターとして使う上で、最も利用されているのがSidecarとDuet Displayです。両者の違いをまとめると以下のようになります。
項目 | Sidecar | Duet Display |
---|---|---|
対応OS | macOS限定 | Windows/mac両対応 |
接続方法 | Wi-FiまたはUSB | USBまたはWi-Fi |
遅延 | ほぼなし | 接続方法による(有線推奨) |
Apple Pencil対応 | あり | 有料版のみ対応 |
注意点と制限事項
iPadをモニターとして利用する際には、以下のような点に注意が必要です。
- 映像入力用のポートがないため、直接の映像入力は不可
- 一部のアプリや使用条件では遅延が発生する可能性あり
- アプリのアップデートにより機能が制限される場合がある
まとめ:iPadのモニター活用は用途に応じて選択が鍵
iPadをモニターとして活用するには、Sidecarやサードパーティアプリを用いた方法が主流です。Macを使っているならSidecar、WindowsならDuet Displayなどが実用的な選択肢です。また、iPad自体のディスプレイ性能も高いため、サブディスプレイとしての価値は十分にあります。
一方、iPadを通常のHDMIモニターのように使うことは構造上不可能であり、適切なソフトウェアを介した接続が必須です。目的に合った方法を選び、iPadのディスプレイを最大限に活用しましょう。