MacBookを外部モニターとして使いたいというニーズ
近年では、複数台のデバイスを所有しているユーザーが増えており、「手持ちのMacBookを別のPCやゲーム機のモニターとして使いたい」という要望も多く見られます。特にサブディスプレイの代用として、MacBookの高解像度Retinaディスプレイを活用したいと考えるケースが代表的です。
しかし、macOSの設計やハードウェア構造上、この用途には制限があるため、事前に仕様と代替手段を理解しておく必要があります。
結論:MacBookをHDMIやUSB経由でモニター化することは不可
Appleが提供するmacOSおよびMacBookのハードウェア仕様では、MacBookを「外部ディスプレイ」として直接使用する機能は搭載されていません。以下の理由により、HDMI入力やDisplayPort入力がMacBookには存在しないため、他のPCやゲーム機から映像をMacBookの画面に直接映すことはできません。
- MacBookのUSB-CやThunderboltポートはすべて出力専用
- HDMIポートが搭載されているモデルも出力用であり、入力には非対応
- macOSには他端末からの映像信号を受け取るための標準機能が存在しない
このため、MacBookを一般的なモニターのように使用することは、Apple公式の機能では不可能です。
ターゲットディスプレイモードはMacBookでは利用不可
Appleの「ターゲットディスプレイモード(Target Display Mode)」は、一部のiMac(主に2009〜2014年の27インチモデル)で利用可能な機能で、外部入力をiMacのディスプレイに表示することができました。
しかし、MacBookにはこの機能は一度も搭載されたことがなく、macOS Ventura以降を含む全てのバージョンにおいても非対応です。
代替手段:画面共有やミラーリングによる擬似的なモニター化
MacBookを「実質的に」モニターのように使うためには、画面共有やミラーリング機能を用いる方法があります。ただし、これらは映像入力ではなくネットワーク経由のデータ転送であり、厳密にはモニターとしての使用ではありません。
1. macOS標準の画面共有
- 同一ネットワーク上にあるMac同士で画面共有が可能
- 「システム設定」→「一般」→「共有」→「画面共有」を有効にする
- VNC互換の外部PCからアクセスも可能(VNCクライアントが必要)
2. サードパーティ製アプリを使った仮想ミラーリング
- Luna Display: 専用ドングルを利用し、Mac同士でディスプレイとして使用
- Duet Display: iPad/MacをUSB接続でサブディスプレイとして使う
- Splashtop、Chrome Remote Desktop: 遠隔操作による画面表示
これらの方法は、映像や操作を遅延付きで反映する仕組みであり、ゲームプレイや動画鑑賞などリアルタイム性が求められる用途には向いていません。
Windows PCからMacBookへ画面を表示したい場合の注意点
Windows PCをMacBookに出力する方法は、公式には存在しませんが、以下のような条件で実現することはあります。
- ネットワーク経由のリモートデスクトップ(RDP)を使用する
- VNCサーバーをWindows側にインストールし、MacBookのVNCクライアントから接続
いずれもビデオ信号の「出力→入力」ではなく、画面情報をアプリ経由で転送する手段です。
MacBookの画面を他のモニターとして使うのではなく、MacBookからモニターに出力する方法
逆に、MacBookから外部モニターに出力する方法は正式にサポートされています。以下がその代表例です。
- USB-C to HDMI / DisplayPort / VGA アダプタ経由での出力
- Thunderbolt 3/4 対応ドックを介したマルチディスプレイ接続
- M1 Pro / M1 Max / M2 Pro 以降のMacBook Proでは2台以上のモニターに同時出力が可能
このように、MacBookは「出力元」としてのディスプレイ機能には非常に優れていますが、「入力先」としての利用は制限されています。
まとめ
MacBookをモニターとして使うことは、現行のAppleハードウェアおよびmacOSの仕様上、不可能です。HDMIやUSB経由での映像入力機能は搭載されておらず、ターゲットディスプレイモードにも非対応です。どうしてもMacBookの画面を他の機器から参照したい場合は、画面共有やサードパーティアプリによる擬似的な表示方法があるものの、遅延や画質の制約があるため、作業用として限定的に使用するのが現実的です。映像出力が必要な場合は、MacBookから外部モニターへ接続する構成が正式であり、実用性も高くなっています。