はじめに:AirPodsとGPSの関係について
AirPodsはAppleが展開する完全ワイヤレスイヤホンであり、携帯性や機能性の高さから多くのユーザーに支持されています。近年では、紛失時の位置追跡に関心が高まっており、「AirPodsにGPSが搭載されているのか?」という疑問がよく見られます。本記事では、AirPodsとGPSの関係、実際の位置追跡の仕組み、対応モデルごとの違いについて事実に基づいて解説します。
AirPodsにGPSは搭載されているか?
2025年6月時点で、AirPodsシリーズのいずれのモデルにも、直接的なGPSチップ(GNSSチップ)は搭載されていません。これはAppleの公式仕様書に明記されている情報です。
つまり、AirPods単体ではGPS信号を受信して位置情報を測定することはできません。代わりに、iPhoneなどの接続元デバイスの位置情報、もしくはAppleの「探す」ネットワークを利用することで、間接的な位置追跡が可能となっています。
AirPodsの位置追跡はどう実現されているか
AirPodsにはGPS機能はないものの、次の2つの方法で位置を特定することが可能です。
1. iPhoneやiPadなどの位置情報を利用
AirPodsがBluetooth接続されている間は、接続元デバイスの位置がAirPodsの場所として「探す(Find My)」アプリに記録されます。例えば、iPhoneで音楽を再生中にAirPodsを落とした場合、iPhoneのGPSがAirPodsの最後の使用位置を記録します。
2. 「探す」ネットワークを活用
AirPods(第3世代)以降およびAirPods Pro(第2世代)、AirPods Maxは、「探す」ネットワークに対応しています。このネットワークでは、他のAppleユーザーのデバイスがAirPodsのBluetooth信号を検知し、その位置を匿名・暗号化された形で所有者の「探す」アプリに送信します。
これにより、AirPods単体でもある程度の位置追跡が可能となりますが、これはGPSではなくBluetoothベースの位置特定技術です。
精密な位置測定ができるモデルとその条件
AirPods Pro(第2世代)の充電ケースには、U1チップが搭載されており、「精密位置測定(Precision Finding)」に対応しています。これはGPSではなく、UWB(Ultra Wideband)技術を用いて、AirPodsの方向と距離をiPhoneの画面上に表示するものです。
この機能を使用するには、iPhone 11以降のU1チップ搭載モデルが必要です。ただし、あくまでBluetoothとUWBによる近距離測位であり、衛星測位(GPS)とは異なります。
各AirPodsモデルのGPS・位置追跡対応状況
モデル | GPS搭載 | 探す対応 | U1チップによる精密測定 |
---|---|---|---|
AirPods(第1世代) | 非搭載 | 最後の接続位置のみ | 非対応 |
AirPods(第2世代) | 非搭載 | 最後の接続位置のみ | 非対応 |
AirPods(第3世代) | 非搭載 | 「探す」ネットワーク対応 | 非対応 |
AirPods Pro(第1世代) | 非搭載 | 最後の接続位置のみ | 非対応 |
AirPods Pro(第2世代) | 非搭載 | 「探す」ネットワーク+U1対応ケース | 対応 |
AirPods Max | 非搭載 | 「探す」ネットワーク対応 | 非対応 |
AirPodsを追跡できない主なケース
以下のような状況では、AirPodsの位置追跡が不可能または制限される可能性があります。
- AirPodsがバッテリー切れの状態
- AirPodsが充電ケース内にあり、Bluetooth信号を発していない
- 近くにAppleデバイスが存在しない(「探す」ネットワークが機能しない)
- 「探す」機能がオフになっているApple IDで使用されている
まとめ:AirPodsにはGPSはないが、位置追跡は可能
AirPodsにはGPSチップは搭載されていませんが、iPhoneなどの接続デバイスや「探す」ネットワークの仕組みを活用することで、実質的な位置追跡が可能となっています。特に、AirPods Pro(第2世代)では精密な測位が可能であり、紛失時の発見率が大幅に向上しています。
GPS機能そのものを期待する場合にはiPhoneなどの本体側に依存することを理解し、日頃から「探す」機能をオンにしておくことが重要です。