ヘッドトラッキングとは何か?
AirPodsに搭載されている「ヘッドトラッキング(Head Tracking)」とは、ユーザーの頭の動きをリアルタイムで検知し、その動きに応じて音の方向やバランスを自動的に調整する技術です。この機能は「空間オーディオ(Spatial Audio)」の一部として提供され、より立体的で没入感のある音響体験を実現します。
ヘッドトラッキングが有効な状態では、たとえばiPhoneで映画を観ているときに頭を左に傾けると、音が右方向から聞こえてくるように感じられます。これは、音の定位をデバイスの位置に固定することで、まるで音源が実際にその場にあるかのような錯覚を生み出すものです。
空間オーディオとの違いと関係性
「空間オーディオ」は、映画や音楽を3Dサラウンドのように聴かせるApple独自の音響技術です。この空間オーディオにヘッドトラッキングが加わることで、頭の動きに連動して音の方向が変化し、より自然でリアルな臨場感を体感できます。
空間オーディオのみを使用する場合でも広がりのある音場を楽しめますが、ヘッドトラッキングを有効にすることで、音源が物理的に固定されたような感覚が追加されます。これは「ダイナミック・ヘッドトラッキング」とも呼ばれています。
ヘッドトラッキングに対応しているAirPodsモデル
ヘッドトラッキング機能は、すべてのAirPodsで利用できるわけではありません。以下のモデルで対応が確認されています(2025年6月時点)。
- AirPods Pro(第1世代・第2世代)
- AirPods(第3世代)
- AirPods Max
AirPods(第1世代・第2世代)や他社製のイヤホンではこの機能は使用できません。
対応するAppleデバイスとシステム要件
ヘッドトラッキングを使用するには、以下のようなAppleデバイスとOSが必要です。
- iPhone 7以降(iOS 15以降)
- iPad Pro(すべてのモデル)、iPad(第6世代以降)
- Mac(macOS Monterey以降、Apple Silicon搭載が推奨)
- Apple TV 4K(第2世代以降)
また、AirPodsのファームウェアが最新である必要があります。ファームウェアは手動更新できず、条件が整ったときに自動更新されます。
ヘッドトラッキングの設定方法
iPhone・iPadでの設定方法
- AirPodsを接続した状態で「設定」アプリを開く
- 「Bluetooth」からAirPodsの「i」アイコンをタップ
- 「空間オーディオ」または「ヘッドトラッキング」を選択
- 「ヘッドトラッキング」または「固定」「オフ」からモードを選択
Macでの設定方法
- AirPodsをMacに接続
- 「システム設定」→「サウンド」→「出力」を選択
- AirPodsを選び、「空間オーディオのヘッドトラッキング」を有効にする
Apple TVでの設定方法
- AirPodsをApple TVに接続
- 再生中のコンテンツでリモコンのTVボタンを長押し
- コントロールセンターから「空間オーディオ」メニューを選択
- 「ヘッドトラッキング」をオンにする
使用できる主なコンテンツ
ヘッドトラッキング機能は以下のようなコンテンツで使用できます:
- Apple Musicの空間オーディオ対応楽曲
- Apple TV+やiTunes StoreのDolby Atmos対応作品
- Disney+やNetflixなどの一部動画配信サービス(Dolby Atmos対応)
- FaceTimeでの通話(相手の声の位置を再現)
コンテンツによっては空間オーディオのみ対応し、ヘッドトラッキングに非対応な場合があります。
ヘッドトラッキングが効かない場合の対処方法
- デバイスのOSバージョンが古い → iOS/iPadOS/macOSを最新にアップデート
- AirPodsのファームウェアが古い → 一晩充電状態でiPhoneと近くに置いておく
- Bluetoothの接続不良 → 接続を解除して再ペアリング
- 設定ミス → 空間オーディオ設定内で「固定」や「オフ」になっていないか確認
機能のオンオフを素早く切り替える方法
iPhoneで再生中にコントロールセンターを開き、音量スライダーを長押しすると、「空間オーディオ」→「ヘッドトラッキング」「固定」「オフ」を選択できます。操作中に気分が悪くなった場合など、すぐに無効化するのに便利です。
まとめ
AirPodsのヘッドトラッキングは、音の臨場感を高める革新的な機能です。空間オーディオと組み合わせることで、音源がその場にある
 
  
  
  
  

