はじめに:iPadを強制初期化する場面とは
iPadが正常に動作しない、パスコードを忘れてしまった、画面がフリーズして操作できないなどの状況では、通常の方法で初期化ができないことがあります。そのような場合には、iTunesやFinderを使用して「強制初期化(工場出荷状態への復元)」を行う必要があります。本記事では、iPadを強制的に初期化するための正規手順を、事実に基づいて解説します。
1. 強制初期化に必要な環境と準備
強制初期化を行うためには、以下の環境と機器が必要です。
- WindowsまたはMacのPC
- 最新バージョンのiTunes(Windows)またはFinder(macOS Catalina以降)
- iPadと接続するUSB-LightningまたはUSB-Cケーブル
また、充電がある程度残っている状態(30%以上)が望ましいですが、充電しながらでも実施は可能です。
2. iPadをリカバリーモードにする方法(モデル別)
iPadを強制初期化するには、まずリカバリーモードに入る必要があります。モデルごとに操作方法が異なるため、以下の手順を確認してください。
Face ID搭載モデル(例:iPad Pro 11/12.9インチ)
- iPadの電源をオフにする
- トップボタンを押しながら、PCに接続
- Appleロゴを過ぎて、リカバリーモード画面(PCとケーブルのアイコン)が表示されるまでボタンを押し続ける
ホームボタン搭載モデル(例:iPad(第9世代)、iPad mini(第5世代)など)
- iPadの電源をオフにする
- ホームボタンを押しながらPCに接続
- リカバリーモード画面が表示されるまでボタンを保持
3. iTunesまたはFinderを使った強制初期化手順
リカバリーモードに入ったiPadがPCに認識されると、iTunesまたはFinderに以下のような表示が出ます。
- 「このiPadに問題があります。‘復元’または‘アップデート’を選択してください」
手順
- 「復元」を選択
- iTunes/Finderが最新のiPadOSをダウンロード
- 自動的にiPadが初期化(工場出荷状態)される
- 完了後、初期設定画面が表示される
この操作により、iPad内のすべてのデータは削除されます。
4. アクティベーションロックに注意
初期化が完了しても、「iPadを探す」が有効になっている場合、アクティベーションロックによりApple IDとパスワードの入力が求められます。これは盗難防止機能として設けられているもので、Apple IDを知らないと使用を再開することができません。
対処法
- Apple IDとパスワードを入力
- パスワードを忘れた場合は、iforgot.apple.comからリセット
- Apple ID自体を忘れた場合も、上記サイトから検索可能
中古で購入した場合は、前の所有者にアクティベーションロックの解除を依頼する必要があります。
5. 強制初期化できない場合の確認ポイント
以下のような状況では、強制初期化がうまくいかないことがあります。
- iTunesが最新版でない
- USBケーブルが断線している
- iPadがリカバリーモードになっていない
- PCのセキュリティソフトが通信を妨げている
対処法
- iTunesを最新版にアップデート
- 別のUSBポートまたはケーブルを試す
- iPadを再度リカバリーモードにする
- 必要に応じてPCのセキュリティ設定を一時的に変更
6. 強制初期化後のデータ復旧について
強制初期化を行うと、iPad内のデータは完全に消去されます。ただし、iCloudバックアップまたはiTunes/Finderにローカルバックアップがある場合は、初期化後に復元が可能です。
復元手順
- 初期設定画面で「Appとデータ」>「iCloudバックアップから復元」または「Mac/PCから復元」を選択
- Apple IDでログイン
- バックアップを選択し、復元を開始
バックアップがない場合、強制初期化後にデータを復元することはできません。
まとめ:iPadの強制初期化は正しい手順で安全に行う
iPadが操作できない状態でも、PCとリカバリーモードを使えば強制的に初期化が可能です。ただし、Apple IDによるアクティベーションロックは別の認証が必要になるため、事前にApple IDとパスワードを確認しておくことが重要です。強制初期化を行う際は、データ消去を前提とした対応が求められます。可能な限り、バックアップを取ってから実行しましょう。



