iPadでVisual Studio Codeは使えるのか?
2025年6月時点において、Visual Studio Code(以下、VSCode)の正式なiPadOS対応版は存在していません。iPadにはmacOSやWindowsのようなファイルシステムやローカル実行環境が備わっていないため、VSCodeのフルバージョンを直接インストールして使用することはできません。
しかし、iPadの機動性を活かしつつ、リモート環境やWebベースのソリューションを利用することで、VSCodeに近い体験を得ることは可能です。
iPadで使えるVisual Studio Codeの代替手段
以下は、iPadでVSCodeに類似した開発体験を得るための代表的な方法です。
1. Visual Studio Code for Web(vscode.dev)
Microsoftが提供するWeb版のVSCode「vscode.dev」は、iPadのSafariやGoogle Chromeからアクセス可能です。インストール不要で、基本的なエディタ機能やGitHubとの連携機能が使えます。
- ローカルファイルの編集に対応(ただしアクセスは手動)
- 拡張機能の利用には制限あり
- ターミナルやローカルビルド機能は非対応
2. GitHub Codespaces
GitHubが提供するクラウド開発環境で、VSCodeベースのエディタとLinuxコンテナをブラウザ上で動作させる仕組みです。iPadからアクセス可能で、キーボードとマウスがあれば開発環境としても十分に使用できます。
- GitHubアカウントと課金設定が必要
- Node.jsやPythonなどの実行環境もクラウド上に用意可能
- VSCodeの拡張機能も使用可能
3. リモートデスクトップ経由での使用
iPadからMacやWindows端末にリモート接続し、VSCodeを操作する方法です。代表的なアプリとしては、以下のようなものがあります。
- Microsoft Remote Desktop
- Chromeリモートデスクトップ
- VNC Viewer
この方法では、iPad自体はあくまで表示端末に過ぎませんが、ローカルの開発環境をそのまま操作できる点がメリットです。
4. SSH接続+WebベースのIDE
TermiusなどのSSHクライアントアプリを使って、iPadからLinuxサーバーに接続し、そこから自分でVSCode Server(code-server)などを動かす方法もあります。
ただしこの方法にはある程度の技術的知識が必要であり、以下の条件が求められます:
- サーバー側にLinux環境の用意
- SSH接続の設定と公開鍵認証
- VSCode Serverなどのセットアップ
キーボード・マウス環境の整備も重要
iPadでの開発作業を快適に行うためには、外部キーボードとマウスまたはトラックパッドの使用がほぼ必須です。特に、コード入力やショートカット操作が多いVSCodeでは、タッチ操作だけでは作業効率が著しく低下する可能性があります。
ファイル操作の制約とiPadOSの特徴
iPadOSでは、アプリごとにサンドボックス化されたファイル構造となっており、ローカルで複数のファイルを一括で編集・保存する用途には向いていません。また、Web版VSCodeやGitHub Codespacesでも、ファイルのドラッグ&ドロップやマルチタブ操作に制限があります。
アプリとしてVSCodeはiPadにリリースされているか?
現時点では、App Storeに公式のVSCodeアプリは存在しません。また、MicrosoftもiPadOS向けのネイティブアプリを開発しているという情報は「公表されていない」ため、今後の対応については未定です。
代替アプリの候補
VSCodeと同様の用途をカバーできる、iPad用のコードエディタアプリには以下のようなものがあります:
- Textastic Code Editor:多言語対応の高機能テキストエディタ。SFTPやGitにも対応。
- Koder Code Editor:HTML/CSS/JSなどのWeb開発に特化したエディタ。
- Buffer Editor:GitHub連携とクラウドサービス対応が特徴。
これらはあくまでローカル編集向けのアプリであり、VSCodeの完全な代替とは言えませんが、簡易的なコーディングには十分使用可能です。
まとめ:iPadでVSCode環境を再現する現実的な方法
iPadではVSCodeのフルバージョンを直接使うことはできませんが、Web版やクラウドIDE、リモートデスクトップ、SSH接続などを組み合わせることで、類似の開発環境を構築することが可能です。用途に応じて最適な方法を選び、キーボードやマウスの導入を含めて環境を整備すれば、モバイル開発端末としてのiPad活用も十分実用に足るものとなります。