iPadで3Dモデリングはできるのか?
iPadは近年、処理性能や周辺機器対応が大幅に向上したことにより、クリエイティブ用途にも活用される場面が増えています。特にiPad Proシリーズでは、Apple Pencil対応や高性能チップ(M1、M2、M4など)の搭載により、3Dモデリング用途としても注目を集めています。この記事では、iPadで3Dモデリングを行う際の基本情報と、2025年時点で主に使われているアプリや活用シーンを紹介します。
iPadで3Dモデリングを行うための基本条件
3DモデリングをiPadで快適に行うには、以下の条件が必要です:
- 処理性能:Apple Mシリーズ(M1以降)またはA12Z以上のチップが望ましい
- 画面サイズ:11インチ以上推奨。作業領域が広い方が操作性向上
- Apple Pencil:精密な操作やスカルプト用途で必須
- ストレージ容量:最低でも128GB以上推奨(3Dファイルは容量が大きいため)
- iPadOSのバージョン:17以降が対応アプリの要件となっている場合がある
特にiPad Proシリーズ(2021年以降)やiPad Air(第5世代)以降であれば、性能面で大きな支障はありません。
iPad対応の代表的な3Dモデリングアプリ
2025年6月時点で、iPadで使用可能な主要3Dモデリングアプリは以下のとおりです。
1. Shapr3D(シャーパー3D)
- 特徴:直感的なUIとApple Pencil最適化。CAD向け機能が充実。
- ファイル形式:STEP, IGES, STL, 3MF など
- 用途:製品設計、建築モデリング、工業デザイン
2. Nomad Sculpt
- 特徴:スカルプト(粘土的造形)に特化したモバイル向けアプリ
- ファイル形式:OBJ, glTF, STL など
- 用途:キャラクターモデル、ゲーム用モデリング
3. uMake
- 特徴:初心者でも扱いやすいスケッチベースの3Dモデリング
- ファイル形式:IGES, STEP, OBJ など
- 用途:プロトタイプ設計、建築スケッチ
4. Forger
- 特徴:スカルプトとポリゴン編集の両方に対応
- 開発元:Maxon(Cinema 4Dと連携可能)
- 用途:ZBrushに近い感覚のモデリング作業
iPadでの3Dモデリング活用シーン
iPadでの3Dモデリングは、以下のようなシーンで活用されています:
1. 外出先でのラフ設計
Apple Pencilを使ってスケッチベースで立体化できるため、設計案を即座に3D化する用途に適しています。CADデータとして出力できるため、デスクトップ用のソフトと連携も可能です。
2. 教育用途・学習用途
アプリによってはチュートリアルが豊富に用意されており、3Dモデリング入門者にも向いています。学校やデザイン専門学校でもiPadを用いた3D教育が導入されています。
3. ゲーム・3Dプリント用データ作成
スカルプト系アプリではフィギュアやキャラクターの作成が可能です。STL形式で出力すれば、そのまま3Dプリンターで造形することもできます。
PCとの連携・エクスポートの可否
多くのiPad向け3Dモデリングアプリでは、以下のようなファイルエクスポートに対応しています:
- Shapr3D → STEP, IGES, STL(MacやWindows用CADソフトと互換)
- Nomad Sculpt → OBJ, glTF(ゲームエンジンUnity/Unrealと連携)
- uMake → IGES, STL(Fusion 360、SolidWorksなどと連携可能)
クラウド保存やAirDropを活用すれば、PC環境へのファイル転送も容易です。
iPadの制約と注意点
iPadによる3Dモデリングにはいくつかの制約も存在します:
- 複雑なリグ設定やアニメーション編集には非対応:PC用のBlenderやMayaが必要
- GPU負荷が高い処理には限界がある:大型モデルの編集は処理落ちすることもある
- マルチファイルの一括管理は不便:ファイル整理はクラウドベースで補完
プロフェッショナルな制作現場では、iPadはあくまで補助的な作業環境と位置付けられる傾向があります。
まとめ:iPadは3Dモデリング入門から簡易制作まで十分対応可能
iPadは2025年現在、ハードウェア性能の進化と高性能アプリの登場により、3Dモデリング用途にも実用的に対応できるようになっています。特にApple Pencilの操作性とiPadの機動力を活かせば、外出先や教育用途でのモデリング作業が効率的に行えます。
ただし、複雑な制作工程や大規模プロジェクトにはPC環境との連携が必要不可欠であり、用途や目的に応じて最適なワークフローを選ぶことが重要です。


