Apple WatchでiPhoneのロック解除ができる仕組みとは
Apple Watchには「Unlock with Apple Watch(Apple Watchでロック解除)」という公式機能が搭載されています。これはFace IDが顔を完全に識別できない状況(マスク・ヘルメット着用など)でも、手首に装着したApple WatchをキーとしてiPhoneのロックを解錠するしくみです。認証情報は近距離のBluetooth Low EnergyとWi-Fiを併用して暗号化通信され、外部からの傍受は困難とされています。
対応モデル・ソフトウェア要件
- iPhone X以降のFace ID搭載機種(iOS 14.5以降)
- Apple Watch Series 3以降(watchOS 7.4以降)
- 両デバイスで同一Apple IDを使用
- BluetoothとWi-Fiが両方オン
- Apple Watchにパスコード設定・「手首検出」を有効化
上記条件が満たされない場合、設定項目自体が表示されないか、機能がグレーアウトします。
Apple WatchでiPhoneをロック解除する設定手順
- iPhoneで「設定」>「Face IDとパスコード」を開く。
- パスコードを入力し、「Apple Watchでロック解除」欄にある自分のApple Watchをオンにする。
- Apple Watch側に確認通知が届くので「OK」をタップ。
以上で設定完了です。解除時に初回のみ“ピッ”という触覚フィードバックと通知がApple Watchに届き、解除が成功したことを示します。
実際の解除手順と動作条件
- Apple Watchを装着していてロックが解除済みであること。
- iPhoneを起動またはスリープ解除してFace IDが動作。
- Face IDが顔の大半を認識できないと判断したときにApple Watch認証が代替。
解除に成功すると画面上部に「Apple Watchでロック解除」と表示され、Apple Watchに触覚通知が届きます。
マスク着用時とiOS 15.4以降の「マスク着用Face ID」との使い分け
iOS 15.4以降、マスク着用でもFace IDのみで解除できるオプションが追加されましたが、サングラスやフルフェイスヘルメット、スキューバマスクなどで顔全体が大きく隠れる環境ではFace ID単独での解除が難しく、今なおApple Watchによる解除が有効です。また、Apple Watch方式はマスク着用Face IDが非対応のiPhone X〜12シリーズでも利用できる利点があります。
よくあるトラブルと対処法
| 症状 | 主な原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 解除できない/通知が来ない | BluetoothまたはWi-Fiがオフ | 両方オンにし、機内モードを解除 |
| 設定項目が表示されない | watchOS・iOSが旧バージョン | 最新OSへアップデート |
| 「このApple Watchは離れているため…」と警告 | Apple Watchが腕に装着されていない/手首検出オフ | 装着してパスコード解除、手首検出をオン |
セキュリティ上の制限事項
- Apple Pay決済、iTunes・App Store購入、パスワード自動入力には使用不可。
- 解除後すぐにApple Watchの通知で「iPhoneをロック」をタップすると遠隔再ロックが可能。
- Apple Watch自体のパスコードを解除せず外した場合は機能しないため、第三者悪用リスクを低減。
ロック解除が機能しないときのチェックリスト
- iPhone・Apple Watchともに再起動
- iPhoneの「設定」>「一般」>「転送またはiPhoneをリセット」でネットワーク設定をリセット(通信異常時)
- Apple WatchをiPhoneから一度解除し再ペアリング(最終手段)
これでも解決しない場合はハードウェア故障やプロファイル不整合の可能性があるため、Apple サポートへ相談してください。
Macのロック解除機能との違い
Macには2016年以降「Apple WatchでMacのロックを解除」が実装されていますが、基盤技術は類似していてもiPhone向け機能とは別個に動作します。iPhoneを解除するには今回の手順、Macを解除するにはMac側の「システム設定」>「Touch IDとパスコード」で設定が必要です。
まとめ:Apple Watchでのロック解除は簡便かつ安全
Apple Watchを用いたiPhoneのロック解除は、着用中であればワンタップ不要、顔全体を見せる必要もなしという利便性を提供します。通信は暗号化され、Apple Watchが外れると無効化されるため、セキュリティ面でも一定の安全性が確保されています。マスク社会が緩和されても、サングラスや防寒用フェイスカバーなどでFace IDが機能しづらいシーンは残るため、設定しておいて損のない実用機能と言えるでしょう。
