「Xperia撤退」の噂の背景とは
ソニーのスマートフォンブランド「Xperia」に関して、過去数年間にわたり「撤退するのではないか」といった噂が度々報道されてきました。その背景には、スマートフォン市場におけるソニーのシェア低下や赤字続きの事業状況が挙げられます。
特に2010年代後半、グローバル市場での販売台数が減少し、一部地域での販売終了が相次いだことから、「撤退」という言葉が拡大解釈された経緯があります。しかし、2025年7月時点において、ソニーは正式にXperia事業からの撤退を発表していません。
グローバル展開と地域別の動向
Xperiaの販売状況は地域によって大きく異なります。以下は主な動向です。
- 日本国内:NTTドコモ、au、ソフトバンクなどの主要キャリアを通じて販売が継続されており、一定のシェアを維持しています。
- ヨーロッパ市場:一部地域では販売が継続されていますが、過去に比べて取扱店が減少傾向にあります。
- 北米市場:2019年以降、主要キャリアでの取り扱いはほとんどなく、SIMフリーモデルが中心となっています。
- アジア市場:中国・インドなどの新興市場からは実質的に撤退しており、現地販売はほぼ行われていません。
これらの動きはあくまで「選択と集中」に基づく戦略的な販売縮小であり、Xperiaブランド自体の終了を意味するものではありません。
事業再編と戦略の見直し
ソニーは2019年にモバイル事業をエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野(EP&S)に統合し、同年にスマートフォン事業の構造改革を進めました。この改革では、人員削減や販売地域の見直し、生産拠点の再編などが実施されました。
その結果、赤字続きだったスマートフォン部門は2020年度以降、黒字化を達成し、限られたリソースでの事業継続が可能となっています。これも、Xperiaブランドが依然として継続中である根拠の一つです。
最新モデルの展開状況(2023年〜2025年)
以下は2023年以降に発売された主要Xperiaモデルです。
- Xperia 1 V(2023年):カメラ機能に注力し、プロユーザー向けの機能を搭載。
- Xperia 5 V(2023年):コンパクトながらハイエンド性能を維持したモデル。
- Xperia 10 VI(2024年):ミッドレンジ市場向けにコストパフォーマンスを重視。
- Xperia 1 VI(2024年):カメラとディスプレイ性能がさらに進化。
これらのモデルはいずれも日本国内で正式に販売されており、撤退とは矛盾する動きです。
ソニーがXperiaを継続する理由
ソニーがスマートフォン事業を維持する背景には、以下のような戦略的な意図があります。
- 自社技術の統合:カメラ、オーディオ、ディスプレイなど、他のソニー製品との技術共有が可能。
- 法人・業務用用途:放送・医療など特定分野での業務用端末としてのニーズ。
- ブランド維持:ソニーのプレミアムブランド戦略の一環として、ハイエンド製品の存在が不可欠。
このように、Xperiaは単なるスマートフォン製品という枠を超えた、ソニー全体の事業戦略に組み込まれています。
「撤退」ではなく「選択と集中」
「Xperiaが撤退した」という表現は、事実とは異なります。正確には、グローバル展開の中で不採算地域からの撤退や販売縮小を行い、限られた地域・モデルに集中する形で事業を再構成したものです。
実際に日本市場を中心に製品は継続して発売されており、公式サポートや修理サービスも継続中です。よって、「Xperiaは撤退した」という主張は「誤解」であるといえます。
まとめ
Xperiaは2025年現在も正式にソニーが販売・サポートを行っているスマートフォンブランドであり、撤退の事実はありません。一部地域での販売終了はあるものの、それは事業再編の一環としての措置であり、ブランド自体の終了を意味するものではありません。
今後の展開についても、現時点では「不明」ですが、既存製品のリリース状況を見る限り、引き続きXperia事業が継続される可能性は高いと見られます。
