AirPodsの「同時接続」とは何を意味するか?
AirPodsの「同時接続」という表現は、一般的に「複数のデバイスに同時に接続して切り替えながら使えるのか?」という疑問を指します。AirPodsシリーズには自動切り替え機能がありますが、複数デバイスで完全な同時再生は対応していません。
ただし、Appleのエコシステム内での「スムーズな切り替え」や、「オーディオの共有」といった機能により、ユーザーは複数の機器間でシームレスにAirPodsを利用できます。以下では、実際にできること・できないことを明確に解説します。
AirPodsが対応するマルチポイント接続の有無
AirPodsは一般的なBluetoothヘッドホンが持つ「マルチポイント接続」(複数のデバイスに同時接続して同時待ち受けする機能)には対応していません。つまり、例えばiPhoneとWindows PCの両方から同時に音を受け取ることはできません。
ただし、Appleデバイスに限ってはApple IDを介した「自動切り替え」により、事実上、マルチデバイス対応のような挙動を見せます。
Appleデバイス間の自動切り替え機能
iOS 14以降、およびmacOS Big Sur以降のAppleデバイスでは、AirPods(第2世代以降)やAirPods Pro、AirPods Maxが「Apple IDに紐付けられた複数のApple製デバイス」間で自動的に切り替わります。
この機能は以下のように動作します:
- iPhoneで音楽を聴いている状態で、Macで動画を再生すると、自動的にMacへ切り替わる
- iPadで映画を観ているときに、iPhoneに電話がかかると、AirPodsがiPhoneへ切り替わる
この切り替えはBluetoothではなくApple独自のエコシステムに基づいたもので、ユーザーが毎回ペアリング操作をする必要はありません。
複数人で1組のAirPodsを共有する「オーディオ共有機能」
「同時接続」という文脈の中で、もう一つの関連機能が「オーディオ共有」です。これは、AirPodsやBeatsの一部モデルで、1台のiPhoneやiPadから2組のAirPodsへ同時に音声を出力する機能です。
オーディオ共有は以下の条件で利用可能です:
- iOS 13以降、またはiPadOSを搭載したデバイス
- AirPods(第1世代は非対応)、AirPods Pro、AirPods Max、Beats Solo Proなどの対応機種
この機能により、友人や家族と同時に同じ音楽や動画を楽しむことができますが、「1台のデバイスに対して2つのAirPodsを接続する」という形であり、複数デバイスへの接続ではありません。
Apple IDを利用した接続管理の仕組み
AppleはAirPodsとApple IDを連携させることで、同一アカウント内のデバイスでAirPodsを共有できる仕組みを導入しています。たとえば、iPhone・Mac・iPad・Apple Watchがすべて同じApple IDでログインしていれば、それぞれのデバイスでAirPodsを簡単に利用可能です。
設定方法は以下の通りです:
- AirPodsをiPhoneに接続し、「設定」→「Bluetooth」→「AirPodsの設定」を開く
- 「このデバイスに接続」を「このiPhoneに最後に接続していた場合のみ」に変更することで自動切り替えの制御が可能
AirPods Maxは同時接続に対応しているか?
AirPods Maxも他のAirPodsシリーズと同様に「複数のAppleデバイスとの自動切り替え」には対応していますが、Bluetoothマルチポイント接続には非対応です。つまり、例えば「Windows PCで会議中にiPhoneの通知音も同時に聞く」といった用途には対応していません。
WindowsやAndroidとの接続はどうなるか?
AirPodsはWindowsやAndroidスマートフォンにもBluetoothイヤホンとして接続できますが、Apple製品と同様の自動切り替え機能は使えません。また、1台ずつしか接続できないため、毎回Bluetooth設定での切り替えが必要です。
したがって、WindowsとiPhoneを同時にAirPodsに繋げて使うことはできません。
まとめ:AirPodsの「同時接続」は誤解されやすい
AirPodsは物理的に複数のデバイスに同時接続して同時に音声を出すことはできません。ただし、Apple IDを活用することで、複数のApple製デバイスとの間で「自動的に切り替わる」という非常に便利な機能が利用できます。
一方、AndroidやWindows環境では都度ペアリングの操作が必要となり、利便性は限定されます。利用環境に応じて、AirPodsの機能を正しく理解し、最大限活用することが重要です。

