iPadでフォントを追加する必要性と対応状況
iPadはiPadOSの進化により、文書作成やデザイン用途にも活用されるようになりました。その中で、「標準搭載のフォントだけでは不十分」「日本語フォントを追加したい」といったニーズも高まっています。iPadでは、一部の方法を通じて新しいフォントを追加することが可能ですが、使用できるアプリや操作方法に制限があるため、正確な理解が重要です。
iPadにフォントを追加するための前提条件
iPadにフォントを追加するには、以下の条件を満たしている必要があります。
- iPadOS 13以降がインストールされていること(フォント管理APIに対応)
- 管理機能に対応したフォントアプリを利用すること
- フォントを使用したいアプリがカスタムフォントに対応していること
なお、システム全体で追加フォントを使えるわけではなく、対応アプリ内でのみ使用可能です。
App Storeで配布されているフォント管理アプリの例
iPadにフォントを追加するには、App Storeで提供されているフォント管理アプリを使う方法が一般的です。
1. Font Diner(無料)
- Appleが推奨するフォント配布アプリ
- 登録後、「設定 > 一般 > フォント」に自動で反映
2. iFont(有料・一部機能無料)
- OTF、TTFファイルのインストールが可能
- プロファイルを通じてフォントを追加する方式
3. AnyFont(有料)
- メールやファイル経由で独自フォント(.ttf, .otf)を取り込み可能
- プロファイルインストールによってフォントを追加
これらのアプリを利用することで、Appleが提供する標準以外のフォントを追加できます。
フォント追加の基本手順(iFontを例に)
- iFontをApp Storeからインストール
- iFontを起動し、フォントファイル(.ttfや.otf)を読み込む
- 「インストール」を選択し、構成プロファイルを作成
- 「設定」アプリに移動し、「プロファイルがダウンロード済み」をタップ
- 画面の案内に従いプロファイルをインストール
この手順により、読み込んだフォントが「設定 > 一般 > フォント」から確認できるようになります。
使用可能なアプリと非対応アプリの違い
フォントを追加しても、すべてのアプリで使用できるわけではありません。以下のように、アプリごとに対応状況が異なります。
フォント追加に対応している主なアプリ
- Pages(Apple純正ワープロ)
- Keynote(Apple純正プレゼン)
- Numbers(Apple純正表計算)
- Microsoft Word(Officeアプリ)
- Affinity Designer・Affinity Publisher
- Procreate(一部手動追加が必要)
対応していない主なアプリの例
- Safari(Web表示フォントは変更不可)
- メールアプリ(標準の本文フォント変更不可)
- LINE・InstagramなどSNSアプリ
システム全体に影響を与えるフォント変更はできず、あくまで対応アプリ内での利用に限定されます。
日本語フォントの追加に関する注意点
日本語フォント(明朝体・ゴシック体など)も追加可能ですが、以下の制約があります。
- 無料フォントでも商用利用に制限がある場合がある
- インストール後も一部アプリでは表示が不完全な場合がある
- 日本語フォントはファイルサイズが大きく、iPadのストレージを圧迫することがある
IPAフォントや源ノ角ゴシックなどのオープンソース日本語フォントは、ライセンスを確認の上で利用できます。
iPadでフォントを使う際の実用例
1. プレゼンテーション資料の作成
KeynoteやPowerPointで個性あるフォントを使用し、資料の印象を強める
2. 同人誌・ZINEなどのレイアウト
Affinity Publisherで独自フォントを用いた本文組版に対応
3. デジタルイラストへの手書き風フォント追加
Procreateでコミックやサイン風テキストの表現が可能
フォントの削除方法
不要になったフォントは、以下の手順で削除可能です。
- 「設定」アプリを開く
- 「一般」→「プロファイル」または「VPNとデバイス管理」をタップ
- 該当のフォントインストールプロファイルを選択
- 「プロファイルを削除」を選ぶ
これにより、iPadからフォントファイルと構成プロファイルが完全に削除されます。
まとめ:iPadのフォント追加は用途と対応アプリに応じて活用を
iPadでは、公式機能と外部アプリを組み合わせることで、カスタムフォントの導入が可能です。ただし、全システムでは使えず、対応アプリ内での限定使用となります。日本語フォントを追加する際は、ライセンスや互換性、ストレージ容量に注意する必要があります。
文書作成、イラスト制作、プレゼン資料など、目的に応じてフォントを追加し、iPadをさらに活用するための選択肢として検討すると良いでしょう。



